ショップでもCRADLE OF FILTHやDIMMU BORGIR辺りのバンドが引き合いに出されていた通り、一言で言えば楽曲展開や音質など、トータルでのクオリティも高いシンフォニック・ブラック…という感じですが、その辺りのメジャーバンドと比較すると、こちらはアングラなブラックにも通じる不穏さが強めな作風ですね。個人的には2曲目の中間部なんかはMAYHEMにも通じる陰湿さを感じたり。
DARK FUNERALといえばファストブラックでも生え抜きの暴虐な疾走に、2本のギターがブリザードスタイルの叙情リフを紡ぎ上げていく作風で高い評価を得ていますが、今回も頑固なまでにそれを貫いてますね。変わった所といえば、前作から音の硬質さは引継ぎつつも、よりドラムやヴォーカルが、自然に音に溶け込むようになったことでしょうか。
とにかく前作同様、堅実でかっこいいブラックをやってますので、こういうのが好きなら安心して買える出来です。リフの寒くメロウなメロディセンスも相変わらず素晴らしいです。それと、買うなら絶対日本盤をお勧めします。ボーナストラックの「OPEN THE GATES」のリテイクバージョンはほんとかっこいい…ライブ盤のイントロでやってた「Satan...Satan...Satan...Satan!!!」の叫びが一つに統一されたのは少し残念ですが、やっぱり低音と高音の使い分けの冴え渡るサビは鳥肌もの。
「OPEN THE FXXKIN' GATE!!」の掛け声で始まる、暴力的な曲。 確かデビュー盤「DARK FUNERAL」のみに収録の曲だったと思いますが、こういう割とマニアックな曲も演ってくれて嬉しいです。 サビ部分が「SATAN...OPEN THE GATE」と、覚えやすく一緒に叫びたくなる良い楽曲です。しかも「SATAN」は高音で「OPEN THE GATE」は低音の叫びと使い分けているのが素晴らしいです。
このバンド、メロディの展開によるドラマ性の演出が物凄く上手いんですよね。例えば、インスト明け二曲目の「The Burning Eyes of Vengence」。この曲のブラックメタルらしい邪悪でメロウなトレモロから、メロデス的なクラシカルで優美なメロディに変化していくパートなんて、あまりに劇的で、あまりにクサくて…思わず悶絶してしまいました。…最近話題になったバンドで言うなら、HYPERION辺りをチェックしてる人はツボにハマる可能性大です。
某店では、「和製CRADLE OF FILTHをコンセプトに、未だ確立されていない日本のGothシーンを確立すべく活動する…」みたいなコピー(うろ覚え)でプッシュされていたこの作品ですが、実際に聴いてみるとトレモロとメロい刻みを多用したメロブラ的手法、美麗なツインリードでの泣きメロを多く取り入れたメロデス的音像、全体に漂う耽美で退廃的なゴシック的ムードなど、各ジャンルの美味しいとこどりをしたメロブラ/メロデスという感じ。
レーベル名がInner Circle Japanなので、「どんだけ初期ノルウェジアンかぶれの音なんだろう」と思わせますが、BURZUMやMAYHEM、THORNSなどのインナーサークル関連のバンドと共通するような部分はほとんどなく、むしろDARK TRANQUILITYやSERPENTなどメロデスに近い音。特にリフやリードに込められた甘美なメロディの良さは特筆に値し、北欧のバンドでも「これ以上やったら甘すぎになってしまう」と躊躇しそうなところをためらいなく踏み出すメロウさ加減は、同じく国産のSERPENTに匹敵すると思う。ヴォーカルも低音咆哮と高音絶叫を使い分けるタイプで、特に泣きの入った張り裂けるような絶叫がかっこいいし、総じて音のレベルは高いと思う。ただ、音質は第一線のバンドと比較するとまだ弱いし、歌詞も正直チープな感じがあるのがネック。
1stの時点では「和製CRADLE OF FILTH」と言われつつ、その実メロデスにかなり近いスタイルのメロブラを展開していましたが…今作はクオリティが鬼アップしただけでなく、作風がより確固たるものになったことで、前作以上に素晴らしい作品になっているように思います。国産ブラックの中でもかなり好きな音です。