このバンドって、DISSECTIONの名盤「Storm of the Light’s Bane」からバンド名を取っているんでしょうか。刻みとトレモロを巧みに使い分け、ドラマティックな展開を作り出す作風なんかはモロに影響受けてそうですし、サンクスリストの影響元にDARK FUNERALやSATURNUSに加え、真っ先にDISSECTIONの名前を挙げてますし。ただ、ほぼDISSECTIONのトリビュートバンドのようだったTHULCANDRAと比べると、暗さ・邪悪さが強い分WATAINや同郷のMAY RESULTに近い気がします。
路線は、フルートやハモンド、メロトロンなどを使い、暗い叙情性を演出する曲調に、クリーンとグロウルを使い分けるヴォーカルが乗る、プログレッシブなメロデスという感じで、OPETH辺りを引き合いに出したくなる音、キーボードがプログレッシブな妙味を引き出している分、BEFORE THE DAWNよりもOPETHに近いかな…と思います。どちらもOPETHより1曲1曲は短めですが。
しかし、この作品、ブックレットに「Enter the Realm of Cold Misanthropic Majesty」と書いてあって、実際その通りの音を出してるんですが、ブックレットのサンクスリスト的な部分にはドイツの有名バンドを始め、かなり沢山のバンド名が…。ほんとに人間嫌い(Misanthropic)なの(笑)?仲間いっぱいいるじゃん(笑)。
まさかのNine Inch Nailsカヴァー。 Wishはカラオケで歌ってみて、「あ、これデスヴォイスで歌っても似合いそうかも」と思っていたんですが、やっぱり同じ事を考える人っているんですね(笑)。グラミー賞を取っただけの事はあるかっこいいリフとNergalの無骨なヴォーカルが凄くマッチしています。中間部のナルシスティックな普通声もNergalなんでしょうか?
反面、「XUL」「Demigod」など、超名曲レベルの曲は普通にあるんですが、どうも前作の「The Harlot ov Saints」の魔獣の断末魔のような咆哮、「Heru ra ha」の呪文歌詞部分のキャッチーさのようにインパクトのある部分が少ないんですよね…まぁ、音自体のインパクトは相当な物ですが、「曲」部分でのインパクトが欲しかったです。
Nergalの声にいつにも増した怒りが感じられる曲。 詞はイギリスの文学史に名を残す詩人Swinburneの「Atalanta in Calydon」から引用されていますが、考えることをしない者をその詞の中で批判したというSwinburneと、「No Sympathy For Fools」という曲を作ったNergalは何か通じる物があったのでしょうか。でもSwinburneもまさか自分の詞がこんな風に歌われるとは思わなかったでしょうね(笑) これからもこの調子で浅ましい連中に鉄槌を落としつづけてもらいたいです。
「From the Pagan Vastlands」は今でもライブの定番曲らしいですし、「Hidden in the Fog」「Transylvanian Forest」も後にリメイクして発表している事からも、本人達にとっても記念碑的な作品なのではないかと思います。BEHEMOTHのファンはもちろん、デスは苦手だけどブラックは好きと言う人にも聴いて欲しいですね。ブラックとしても質の高い作品だと思いますよ。
タイトルからしてかっこいい、アルバムのラス曲。 前半は適度にメロディもあるストレートな蹂躙サウンド、後半は力を称えるファンファーレのようなブラスが鳴る雰囲気たっぷりの音で、「Slay the whore! Slit the throat! Make `em crawl!」の所は一緒に叫びたくなる感じ。前作のタイトル曲や「Slave Shall Serve」に匹敵するアンセムが生まれたのではないでしょうか。