デス/ブラックに理解があれば、およそ買って損をすることはないんじゃないか…と言うくらい質が高い作品だと思いますが、MELECHESH、AVERSE SEFIRAなどのデス要素のあるブラック、KEEP OF KALESSIN、IN BATTLEなどの「かっこいい」ブラックが好きな方には特にお勧め。今年は頭からこんな素晴らしい作品を聴けて幸先がいいです。
ブラックとハードコアの融合はDARKTHRONEやTHE MEADS OF ASPHODELを聴いていたので慣れてたつもりでしたが、これには驚きましたね…その後はブラスト入れたりしてメタリックになりますが、最後の曲でまた衝撃。このメロディ、ヴァイキング風とか軍歌風を通り越して、ほとんど演歌の世界に足突っ込んでるような哀メロなんですが…。
OLD MAN'S CHILDやGROMTH、SUSPERIAなど、メロディック/シンフォニックブラック絡みのメンバーによるバンドですが、シンフォブラックばりの大仰さのあるキーボードと、フューネラルドゥームの凌遅的絶望感をミックスさせたような、独自のエクストリームメタルを展開。通常の葬式系のモノクロームな世界観とは若干情景の異なる、色の付いた絶望を見せる音をCDの収録時間限界まで詰め込んだ作品。
2011年発表のEP。 CD盤はDROWING THE LIGHTとのスプリットの曲も収録。 …と言っても、その曲を入れても3曲約16分で、割と短め。
しかしこれ、3曲しか入ってないのが本当に惜しいですよね。彼らの標榜する、「True Occult Black Art」、その言葉が指し示すとおりの、神秘主義の深淵を垣間見るかのような、邪悪極まりないブラックメタル。毒々しく密教的なトレモロや邪悪な存在からの啓示を受けているようなアルペジオなど、構成パーツや音像など自体は特に衒いのないブラックなんですが、聴き手の想像力を喚起する力が半端ない。
欲を言えば、ちょっと普通声が弱いのでそこは改善して欲しい感じですが、十二分に素晴らしい作品だと思う。個人的な印象としては、初期ARCTURUSをもう少しストレートにして、ジャーマンメロブラの感性で再構築した感じ。DER WEG EINER FREIHEITやODEM ARCARUMなどのドイツ産メロブラが好きな方は勿論、Cold Dimension系のどこか超越的な雰囲気があるブラックが好きな方にもお勧め。
JUNO BLOODLUSTのドラマーが在籍するシンフォニック・ブラックという予備知識しかなかったんですが、聴いてみて驚きました。何なんでしょう、この「止まったら死ぬ」的な爆走具合は…。まるでKULT OV AZAZEL辺りがシンフォ化したような凄まじさで、むしろブルータルブラックのカテゴリに入れてもいいと思うような暴虐さ。ヴォーカルがデス的な低音咆哮中心なのも、更に暴力的なムードに拍車を掛けてますね。
シンフォニック・ブラックとしてはそこまでキーボードに依存しない音作り、重さよりは爽快さを感じるプロダクション等も、ドラムの心地良い飛ばしっぷりと上手く噛み合ってる感じですね。例えばDIMMU BORGIRやCRADLE OF FILTHほど大胆な場面変化のある作風という訳ではないですが、要所で印象的なフレーズを挟み、神秘性を演出するキーボード、禍々しさを演出するリフ捌きなどもあり、楽曲自体もかなり良質だと思います。
個人的には、ド派手でクラシカルなシンフォニックブラックを好む方よりも、爽快に飛ばすブルータルブラックが好みの方に推薦したい作品。特にこの心地良い爆走感、KULT OV AZAZELとかなり近いものがあると思うんですよね。
情景的なブラックメタルが好きであれば、幅広くお勧め出来る作品だと思います。COLDWORLDやAURVANDIL、NEFARIOUS辺りのコールド系、DORNENREICHやHELRUNAR辺りのフォーク系、WOLVES IN THE THRONEROOM、SKAGOS、PANOPTICONなどのカスカディアン系など、どのタイプを好む方が聴いてもなにか感じるものがあるかと。
ヴォーカルも例によって自然に回帰した人間の遠吠えのような絶叫ですし、WOLVES IN THE THRONEROOMを始めとしたカスカディアン・自然崇拝系ブラック好きにもお勧めできそう。そもそもメンバーがWODENSTHRONE絡みですね。ただし時折音割れ風の音色のノイジーさのある音作りに若干の癖があるのと、キーボードインスト部分がやや長く、気分でないときは若干冗長に感じるかも。
まず1曲目の「Birth of Immortals」を聴いて、「えっ?」てなりました(笑)。 弦楽器(これがリラでしょうか)がお祭りというよりも、もう牧場で羊追ってる姿が浮かぶレベルの牧歌的なメロディを奏でたと思ったら、メロブラ的な、体感温度を下げるトレモロリフを入れてきて、「それを合わせちゃうんだ…」と衝撃を受けました。…とは言っても、そんなパートは一部で、全体的にはヴァイキングやメロデスに通じる演奏のパートが多く、牧歌メロや壮大なメロも第一印象ほど浮いてるわけではないですが。
タイトルが仏語訳されてますが、BURZUMの「Dungions of Darkness」のカヴァー。本家よりも更にディープ&ダークで、RAISON D'ETREの「Metamorphyses」にも通じる、世界が軋みを上げるような恐ろしさのある音。…ただ、音響で深遠な恐怖感が演出できているだけに、ヴォーカルは必要無い気も。無い方が恐かったとも思う。