いくつものバンド/プロジェクトを渡り歩き、現在はソロ・シンガーとしても成功を収める実力派マイケル・ボーマン(Vo)と、実兄のダーク・ボーマン(G)、元MAD MAXのアクセル・クルーズ(Ds)らにより結成されたドイツ出身のJADEAD HEARTが’94年に発表した1stアルバム。 日本盤はゼロ・コーポレーションからのリリースで、同じ時期にやはりゼロから発売となったFATES WARNINGの『INSIDE OUT』(’94年)とごっちゃになってしまい「プログレ作品だっけ?」ってな誤った印象を抱いていたのですが、(当然そんなことはなく)本作に託されているのはアメリカンな抜けの良さ&分厚いハーモニーと、ヨーロピアンな叙情性を併せ持ったメロディアスHRサウンド。要所で美しく煌めくアコースティックギターを有用したアレンジも冴えており、フック満載の楽曲作りから、この頃既にLETTER XやCASANOVA等での活動を通じて歌唱力の確かさをHR/HMシーンに知らしめていた熱い歌いっぷりに至るまで、マイケルが自身の才を存分に振るえる環境が整ったわけですから、そらクオリティの高い内容に仕上がることは自明の理であったと。 重厚なOPナンバー①に始まり、曲調とマイケルの声質が相俟って猛烈にBON JOVIっぺー②、ドラマティックな⑥、キャッチーなハードポップ⑧、哀愁爆発バラード⑨、欧と米のエッセンスをバランス良く取り込んだ⑩、“I WAS MADE IN LOVIN’ YOU”そっくりな(KISSトリビュート・ソング?)⑬…といった具合に、本編は捨て曲の見当たらない充実作だけに、ゼロ・コーポレーション閉鎖後、国内盤が廃盤のまま放置されているのは勿体ない気がしますね。